娘が小学校6年生の時の話です。
娘の修学旅行先が京都、奈良に決まりました。そういえば私の小学校の修学旅行も京都、奈良でした。
それからもう30年たち、娘も同じ場所に修学旅行に行くことになりました。時の流れは早いものです。
私が感傷に浸っていると、Switchで遊んでいた娘がいきなり話しかけてきました。
「私最近気づいたんやけど、半身浴は人によると思うんよ」
うん、全く意味がわかりません。
「何でそう思ったん?」
「お母さんがお風呂に入ったら半身浴じゃなくて8身浴よ、体積半端ないもん」
非の打ち所がない完璧な答えです。
「まあ、そういう事もあるわな」
近くで妻がテレビを見ていたため、適当に相槌を打ちました。妻はぼーっとテレビを見つめています。
多分聞こえなかったんでしょう、娘との距離は1Mも離れていませんが。
「ああ、それとね修学旅行に行く前に大きなバックを買って欲しいんよ」
娘はSwitchから目を離さずお願いしてきました。
修学旅行は2泊3日です。以前から大きめのリュックを持っているので多分それで間に合うはずです。私は不思議に思って聞きました。
「えー、大きめのリュックあるやん。それじゃいけんの?」
「クーラーボックス入れんといけんから今のリュックじゃ入らん」
クーラーボックス?ジュースやアイスは現地で買えばいいので不要なはずです。
「何を入れるん?」
娘はこちらに顔を向け当然のように言いました。
「鹿しめてくるから、鮮度落としちゃダメやろ」
確かに鹿をしめたらクーラーボックスは必要です。
「血抜きはどうするん?」
娘はニヤリと笑い答えました。
「ホテルの地下で血抜きしようと考えてる」
さすが私の娘です、ご利用は計画的に考えているようです。
「クラスで鹿鍋パーティよ!!」
いいな、楽しそうやなと娘と私がきゃっきゃっとはしゃいでいると妻が振り向き大声で叫びました。
「私が学校に呼び出されるわ!」
「それと修学旅行明けに全校集会よ『この中に鹿をしめた子がいます』って問題になるわ」
ああ妻は聞こえていたんですね。
半身浴の件はスルーした妻の度量に感動です。