スーパーマン

私はコールセンターでSV業務をしています。

オペレータの質問に答えたり研修を実施したり忙しい時には受付をしたりと業務内容は多岐にわたります。

他にもオペレータの相談にのったり悩んでいる時には飲みに連れて行ったりと受付に直接関係ない事も行ったりします。

そんな私を見てあるオペレータが私に言ってくれました。

「スーパーマンみたいですね。」

最高の褒め言葉です。これは誰かに自慢したいところですが自慢したら嫌われるとこの前見た本で読みました。

こうなるといつもの通り我が家の常に怒鳴り散らして怒りと脂肪を蓄えている妻に自慢しようと思います。

先に家にたどり着いた私は今か今かと妻の帰りを待っていました。

しばらく待っていると妻が学童保育に行っていた娘を車に乗せて帰ってきました。

「パパ、ただいま!」

娘が玄関の扉を開けるなり大きな声でただいまを言ってきました。

私は満面の笑みで娘を迎えました。

妻はスーパーで買い物をしてきたようで、娘の後ろから大きな袋2つを両手に抱え無言で家に入ってきました。

「はー。」

家に入ってくるなりため息を一回つきスーパーの袋を台所に投げ捨てるように置きました。

そしてインスタントコーヒーを作り居間のいつも座っている所定の場所に移動しました。

コーヒーを飲みながら片手にスマホを持ち無表情で眺めています。

帰りの車で人でも轢いたのでしょうか?

そんな妻に私は話しかけました。

「聞いてほしい事があるんよ。」

「何?」

不機嫌な空気が伝わってきます。

「俺、会社の人にスーパーマンみたいですねって言われたんよ。凄いやろ。」

「嘘をつくな、そんな事を言うやつが何処におるんな。」

私の会社の46歳の派遣社員の女性です。

「本当に言われたんよ、信じてや!!」

私は必死で懇願しました。

そんな私を見て娘がそばに来て軽く私の袖を引っ張って言いました。

「普段あなたが嘘ばっかりつくから信じてもらえないんよ。」

確かに普段私は8割は嘘をついています。

「わかった認める、バレンタインデーにもらったチョコを全部本命って言ったのは嘘よ。全部義理チョコよ。流れ作業みたいなもんよ。ベルトコンベアーよ。ただスーパーマンって言われたのは本当なんよ、信じてくれ。」

その言葉を聞いて妻は言いました。

「分かった、認める。」

私の誠心誠意の言葉が届いたようです。

「ただし、もし言ったとしてあんたをちょっと褒めたらワッハッハってとてつもなく喜ぶから調子にのらせようと思って言っただけよ。」

「う、うるさい!」

会社の人に褒められましたが妻と娘に罵倒され気持ちが沈んでしまった一日でした。

寝室

日勤で早く帰った日は私がいつも娘を寝かしつけます。

夕食後にお風呂から出た後、お酒を飲みながら少しテレビを見て10時前には娘と一緒に寝室に向かいます。

娘を寝かしつけている時に私も一緒に寝てしまう事がほとんどです。

その日は妻も疲れて早めに寝たかったらしく9時30分ごろに妻が寝室に向かいました。

妻に普段虐げらているお返しをするチャンスです。

妻が寝室に入ってすぐ娘を見ると目が合いました。

「いくよ。」

その一言で私の考えがわかったらしく娘は軽くうなずきました。

足早に寝室に向かい扉を開けました。

妻は布団に入っており入り口と反対方向を見ながら携帯を触っていました。

「入ってくるなー。」

妻が叫びました、どうやら前振りのようです。

妻の布団は入り口から一番奥の窓際に敷いています。

娘と一緒に妻の布団のすぐ近くに行きました。

「近寄ってくるなー。」

妻が叫びました、どうやら前振りのようです。

横向きに寝転んでいる妻の上に私がうつぶせの姿勢で乗っかりました。

私は両手と両足を広げ言いました。

「何だか、空を飛んでるみたい。」

「痛い、痛い。」

妻が苦しんでいます。

私は妻に乗っかっている状態で娘を見ました。

娘は軽くうなずき同じ姿勢で私の上に乗っかりました。

「パパ、私も空を飛んでるみたい。」

「痛い、痛い。」

妻が叫んでいます。

私と娘は一分程その姿勢を保ち何事もなかったかのよう妻から降り自分の布団に入りました。

「もう二度と一緒にあんたらとは寝んからな。」

妻は怒り心頭のようです。

布団に入った娘は私に言いました。

「お母さんとパパの組み合わせ最高ね、こんなに楽しい家庭ないやろ。」

妻に嫌がらせをしただけですが娘にはとても楽しんでもらえたようで嬉しい限りです。定期的に妻に嫌がらせをしていこうと思います。