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怒り

私が休みの日に用事がある時は妻から車を借ります。

妻を職場まで送り仕事終わりに迎えに行きます。

妻を車に乗せている時は必ずと言っていい程妻から怒られます。

以前、車を発進しようとすると妻が大声で叫びました。

「2速になっとるがな!」

私はビックリして急ブレーキを踏みました。

妻の声量から判断すると最近の車は2速(シフトレバーのS表示)になっていると車が爆発する仕様になったようです。

またある時は車に乗せると普段はすぐスマホを操作しだす妻が周囲を不満げな顔をして見回していました。

不満をぶつける弱者を探しているのでしょうか?

その事を妻に告げると妻は怒鳴りました。

「雨の次の日は空気が澄んどるなって思って見てただけよ!」

その会話を交わしている私と妻の間の空気はとても淀んでいました。

まだまだあります。

妻を仕事終わりに乗せると周囲は既に薄暗く車のライトを点けないといけない時間帯でした。

「ライト点けてよ」

「あれ、点けてなかった?」

電灯やお店が多い通りだった為ライトを点ける事を忘れていました。

「車のパネルにライト点いているか表示されるからちゃんと見てよ。」

「ガン見しとるよ」

「見とらんがな」

この時は妻はまだ怒っていませんでした。

「運命の女性と出会った位見とるよ」

「見とらんが、パネルに表示されるから」

まだ怒っていません。

「そうやな、相手を見すぎると逆に目に入らない事もあるからな。お互い見つめあうことではなく、共に同じ方向を見つめることが大事よな」

「見とらんが!」

妻は怒鳴りました、何故こんなに怒るんでしょうか?

どこか体調が悪いのかと思い昨日お腹を触診してみましたが太っている事しかわかりませんでした。

近くにいい医者がいれば誰か紹介して欲しいと思っている今日この頃です。

最近ショックを受けた妻との出来事を書こうと思います。

先日休みの日の夜10時頃の話です。いつものように娘を寝かしつけようと寝室に入りました。

娘は10分程前に「先に行くよ、パパ早く来てね」と言って先に寝室に入っていました。寝室に入ると娘は既に眠っていました、横になってすぐ眠ってしまったようです。

私もそのまま自分の布団に入ろうとしましたが、その日はとても寒かったため脱衣所に干してある靴下を取りに行きました。

物干しハンガーの奥の方に靴下を干していたため手に取ろうとしてハンガーに近づいた所、手前に干してあった妻のかなり大きめのパンツが私の頬に軽く触れました。

私は大きな蛾が顔に当たったくらいの勢いで妻のパンツを激しく手で払い靴下をとりました。

洗面所でしっかり顔を洗った後、最後に頬を念入りに洗い布団に入りました。

休みの日だったため昼間に2時間ほど昼寝をしていましたが、何故かその日はすぐに眠くなり意識がなくなりました。

多分昼寝を妻の布団でした時に悪夢を見てしまった疲れが出てしまったのでしょう。

私は夢を見ました、タイプの女性がいきなり声をかけてきました。

「好きです」

私は無言でその女性の手をとりました。

お互いに目を見つめキスをしようとした所、目が覚めました。

目を覚ますと目の前に布団を手に持った妻が立っていました。

「何で起こすんよ、女の子とデート中やったんよ!」

私は大声で怒鳴りました。

「布団を掛けようとしただけよ!それに妻にそんな事言う奴がおるか!」

妻は怒鳴り返し布団を私に投げつけ自分の布団に入っていきました。

どうやら私は毛布だけ被って寝てしまっていたようです。

次から妻にいい所を邪魔されない様に布団を体に巻き付けて寝ようと思います。

マスク

そういえば最近妻の話をブログに書いていなかったので今回は妻の話を書こうと思います。

コロナの関係で当然ながら妻も外出する時は常にマスクをしています。

妻がマスクをしている時は口元だけで常に鼻がでています。

マスクをして鼻が出ていると意味がありませんし恰好が悪いので毎回注意します。

「車の中だから別にいいんよ」

「周りに人がおらんから」

「息をするのが苦しいんよ」

妻はそう言い訳をしますが私の印象では常に鼻を出しています。

まあそれは大目に見ましょう。

私の記憶が正しければマスクをすると女性は可愛く見えるはずです。

何故でしょう、妻はマスクをしても妻のままです。

しかしこれは私の固定観念かもしれません、マスクをして可愛いポーズをすれば妻も可愛く見えるはずです。

休みの日に居間で寝転んでTVを見ていた妻にお願いしてみました。

「ねー、一回可愛いポーズをしてみてほしいんやけど」

「えー、まあいいけど」

珍しく私の言葉に従った妻を起こしマスクをさせました、もちろん鼻も隠れる位置までです。

一緒にTVを見ていた娘と私の前で、マスクをした妻は両手をグーにして口元近くまで両手を上げぶりっ子ポーズをしました。

結論から言いましょう、家って揺れるんですね。

いつか妻のぶりっ子ポーズを隠し撮りしてTikTokに投稿し、日本を揺らしてやろうと思います。

回転

普段私は妻と娘と同じ部屋で寝ています。

座敷の部屋に布団を3つ敷き、扉近くが私の布団、真ん中が娘、窓際が妻です。

その日は私の仕事が夜勤だった為、帰って夕食を食べ、お風呂に入った後寝室に入りました。

娘は布団に潜り込み漫画を見ており妻は布団に入り窓側を向き携帯を触っていました。

ふと妻の背中を見てみると服がめくれ上がって背中が半分見えていました。

とても大きく質量があるこの背中は何かに似ています。

「アザラシかな?」

私がたまらず呟いた所、妻の背中がピクッと反応しましたが何も言わず携帯を触っています。

私は安心し扉側を向いて携帯を触っていました。

2分程携帯を触っていると娘の悲痛な叫び声が聞こえました。

「わー、助けてー。」

後ろを振り向くとアザラシが・・いいえ妻が横になったまま両手両足をピンと伸ばし真ん中にいる娘を押しつぶしながら私の方に向かって転がってきました。

このままですと私は車に轢かれたカエルのように押しつぶされて平たくなってしまいます。

私は必死に両手を伸ばし妻を押さえました。

私の手は妻の二の腕をつかみました、成人女性の二回り程の太さがありとても質量がありました。

妻を片手で押さえたまま私は自分の二の腕を触り妻との差を確認しました。

「いらん事言うな、いらん事すな!」

妻が叫びましたが私は自分の二の腕を触っただけです。

「いや、何も言うてないけど。」

「行動が物語っとんよ!」

我が家のアザラシは心理学にも長けているようです。

結局その日は妻を自分の布団に戻すのに30分かかりました。

(説得の時間含む)

捨て猫

3年ほど前の話です。私は夜勤の仕事が終わり自転車で家路に向かいました。

我が家のすぐ近くの川に差し掛かった時に猫の鳴き声が聞こえてきました。

「にゃー、にゃー。」

その声は普段よく聞く野良猫の鳴き声より高くか細い声でした。

私は自転車を止め電灯もない川沿いを見まわしました。

暗闇の中を目を凝らして見てみるとそこには生まれて数カ月程の小さい真白な猫がこっちを見ていました。

普段猫に全く興味がない私ですが澄んだ瞳の猫があまりにも可愛すぎて体が硬直しました。

私を猫を見つめながら考えました。

「このまま猫を放置しておけば多分死んでしまうだろう、但し我が家はアパートだから飼う事ができない。」

このまま見なかった事にするのが最良の選択ですが私はそれを拒否して猫を捕まえ自宅に連れ帰りました。

家に連れて帰るともちろん家族は大騒ぎです。

妻からは当然怒られました。

「何で連れて帰ってきたん、どうするん?」

娘は当然大喜びです。

「可愛い、飼いたい。パパお願い。」

私も飼いたいのはやまやまですが我が家のアパートではどうしても無理です。

その日は段ボールに入れて餌を与え様子をみました。

翌日妻にも頼み会社の人に飼ってくれる人がいないか当たってみる事にしました。

私の会社では猫を飼ってくれるという人がいませんでしたが家に帰って妻に聞いてみると妻の実家で飼ってくれると許可をもらえたそうです。

私は妻と知り合ってから約20年になりますが初めて感謝の念を持ちました。

持っただけで当然伝えてはいません、伝えるつもりはありませんが何か?

次の日に妻の父が我が家にきて猫を連れて行きました。

一緒にいたのはたった2日程でしたが猫に興味がなかった私があっという間に猫好きになってしまいました。

またあの猫に会いたくてたまりません。

娘は既に「みーちゃん」と名前をつけ妻の実家に帰るのを楽しみにしていました。

妻の実家は我が家から車で30分程の距離で近いため、妻は月に1回程度実家に帰っています。

私もみーちゃんと会いたい気持ちは強くありましたが妻と休みが合わず妻の実家に行く事が中々できませんでした。

会いたい気持ちは募るばかりです、初恋の気持ちと一緒です。

それから半年くらいたった頃でしょうか、妻がいきなり私に写真を見せてきました。

「何この写真?」

「みーちゃんよ、可愛いやろ。」

そこにはすっかり目つきと体型が変わった猫が写っていました。

やはりペットは飼い主に似るんですね。

「今度の日曜日休みが合うから実家にみーちゃんを見に行かない?前から会いたいって言ってたやん、可愛いよ。」

妻の言葉を聞き私の心の声が口に出ました。

「目つきが悪いデブが。」

「誰の事言いよんな!」

妻は自分の事を言われたと思ったのでしょうか、激怒しました。

まあ間違ってはいませんが。

やはり飼い主は実家のペットに似るんですね。

雁字搦め

妻は癇癪持ちで無愛想ですが機嫌の良い日は私に話しかけてきます。

一番話しかけてくる回数が多い時間帯は仕事から帰って夕食の準備をする前、二番目は寝る前です。

その日も仕事から帰ってきた妻はお決まりのパターンの動きでインスタントコーヒーを作り、夕食前のお菓子を貪っていました。

「何か疲れとるんよ、まだ水曜日よ。」

妻がぼやきました、妻の勤務は月~金で土曜日が仕事の日もあります。

「仕事が忙しいんやろ?」

仕事が忙しい時期は休みまでの勤務が長く感じるのは良くある事です。

「そんなに忙しくはないんやけど、長く感じるんよ。もしかしたら無限ループしとるんかも。多分、無限ループしてる。」

妻の言葉を聞き私は瞬時に怒鳴りました。

「無限ループしとるんやったら、もっと上手く人生送れとるやろ。このありさまか!」

「いらん事いうな、黙っとれ!」

私の言葉で険悪な雰囲気になってしまいましたが言わずにはおれませんでした。

その後、夕食を食べ娘と一緒にお風呂に入り娘を寝かしつけました。

娘が寝付いた頃、寝室に妻が入ってきました。

我が家の寝室は睡眠の時間は常夜灯にするのが決まりです。

私は真っ暗にするのが好きなのですが妻と娘は常夜灯で眠る方が落ち着くようです。

妻と私の間に子供が挟まり川の字に布団をしいて寝ています。

妻は窓際の一番奥の布団に入り暗闇の中、ネットサーフィンをしていました。

私も携帯を触っていたため、しばらく無言の時間が続きました。

「何か面白い事あったらしゃべってや。」

いきなり私に話しかけてきた妻の顔に目を向けると携帯の明かりに照らされ頬肉がいつもより強調されて凄い顔になっていました。

「頬の肉凄いよ。」

「いらん事いうな、黙っとれ!」

食事前も寝る前も話しかけてきたのは妻からですが私が話をしたら怒られました。

私は家の中では雁字搦めです。

休日の会話

ある休日の出来事です。

その日は妻と休みが合ったため車でイオンに買い物に行く予定を立てました。

娘は家でゲームをしたいらしく外出を渋り家で留守番をする事になりました。

お昼ご飯を食べた後、車に乗り込み妻が助手席に座りました。

妻の重みで車が左側に異様に傾きましたが、その事には触れず平静を装い妻に話しかけました。

「久美(仮名)、今日は何を買う予定?」

「何呼び捨てにしよるんよ。」

普段私は妻をちゃん付けで呼んでいるため違和感を感じたようです。

「あんたは何を買うか聞いているんよ。」

「誰があんたなん!」

妻とは結婚して10年たちますが呼び捨てもあんたも妻の意にそぐわないようです。

「呼び捨てもあんたもダメやったら何て呼べばいいんよ、俺はがんじがらめか。」

「久美ちゃんよ。」

その言葉を聞き心に思っていた言葉が咄嗟に漏れ出てしまいました。

「ちゃん付けする面構えか!」

その言葉を言った瞬間、ほっぺたに強い衝撃を受けました、どうやら妻から強烈なびんたが飛んできたようです。

窓の外に血の滲んだ唾をはき、険悪な雰囲気が続いていましたがとりあえずイオンに向かって車を走らせました。

目的地に向かう途中、先ほどの事は何もなかったように妻は私に話しかけてきました。

「昨日、仕事が大変やったんよ。急ぎの仕事で終わらせんといけんのに誰も手伝わんし手伝いにきたかと思っても少ししたらすぐ自分の持ち場に戻るし。休み明けもしんどいと思うわ。」

そこで妻の話が終わり、1分程待ちましたが妻から続きの話がありません。どうやら今の話はそこまでで終わりのようです。

「え、オチは?」

「ないよ、それだけよ。」

当たり前のように妻は言いました。オチもなく話しかけてきた妻の勇気に乾杯です。

「オチがない話を何でしてきたん?今の話だけだったら20点よ。」

妻はその言葉を聞き小さく溜息をつき外を見つめ呟きました。

「休みの日位、ボケとかオチがない話がしたいんよ。」

その言葉を聞き嫌がる妻にM1グランプリに一緒に挑戦しようと持ち掛けていた自分が恥ずかしくなりました。

次は娘をM1に誘ってみようかと思います。

新記録

私はコールセンターに勤めており輪番勤務の為、土日平日関係なく休みがあります。

妻は普段土日が休みで、土曜日が仕事の時も多くあります。

そんな妻が先日、平日に有給休暇を取得し、たまたま私と休みが被りました。

娘は当然学校ですから娘が登校した後、朝食に近くのコメダ珈琲に行く事にしました。

子供抜きで一緒に出掛けたりする事は最近ほとんどしていません。

その日私は久しぶりに妻と2人で出かける事がとても楽しみで7時ごろに目が覚め、すぐ布団から飛び起き居間にいきました。

妻はいつも通り朝6時ごろに起きたらしく体育座りをして冷めて美味しくもないコーヒーをすすりながら撮りためていたTV番組を見ていました。

妻はしかめっ面で私を一瞥しTVに目線を戻しました。

「今日は素敵な一日になりそうだね。」

最高の笑顔と最高の声で妻に話しかけた所、妻はボソッと呟きました。

「気持ち悪い。」

まあこの程度の言葉に反応していたら私の妻の旦那としてはやっていけません。

私は気にせずクッションの上に座りスマホを触っていました。

それから娘を起こし、娘は朝食を食べ学校に行く準備をし7時30分過ぎに家を出ていきました。

私は出かける前に洗面所で顔を洗い鏡に映った自分の顔を見つめました。

「やっぱりカッコいいな。」

私は自分に自信を付けるために毎朝自分の容姿を褒める習慣があります。

「気持ち悪い。」

少し離れた場所から誰かの声が聞こえてきました。

私は気にせず外出用の服に着替え8時頃に妻と車で出かけました。

普段は娘と一緒に後部座席に座る妻ですがその日は私の隣に座りました。

妻が隣に乗った事に嬉しくなり心からの言葉を妻に伝えました。

「君が隣に乗るって何か新鮮だね、幸せって身近な所にあるんだね。」

「気持ち悪い。」

店に着くまでのドライブ中、外はとても晴れており青空が広がっていました。

「こんな何でもない日常を大事にしていきたいね。」

「気持ち悪い。」

コメダ珈琲に着き私と妻はモーニングサービスの手作りたまごペースト付きのトーストとアイスのミルクコーヒーを頼みました。

トーストがとても厚みがあったのですが柔らかくとても食べやすく私は2枚注文しました。

2枚目を頼む時にどこからか舌打ちが聞こえましたが気にせずに注文しました。

「朝からこんなに食が進むのは美味しいからっていうのもあると思うんだけど、楽しい時間を過ごせているからかもね。」

「気持ち悪い。」

朝起きてからコメダ珈琲で朝食を終えるまでの間に「気持ち悪い。」の言葉が合計10回聞こえてきました。

朝起きてから朝食を終えるまでに妻に「気持ち悪い。」と言われた回数のギネス記録は確か7回だったと思います。

企業努力のおかげでお得で美味しいコーヒーとモーニングを出して頂いたコメダ珈琲のレシートを見て「高い。」と呟き顔を歪め支払いをしていた妻を見つめ明日ギネスに申請してみようかなと思った出来事でした。

感動

私は詩を吟じる事が好きです。時々ですが会社の空いた時間や家庭で吟じる事があります。

美しい詩を詠う事により私の魂が洗われていきます。

その日は私が夜勤の仕事でしたが7時ごろに目が覚めました。夜勤の時は12時45分から仕事の為、普段は8時~9時頃まで寝ています。

起きて寝室を出ると妻が洗い物をしていました。私は普段通り妻に向かってとびっきりの笑顔で挨拶をしました。

「おはよう。」

妻はコップを洗いながら私の顔を見て言いました。

「何で起きてきたんよ。」

朝から不快な気持ちにさせられましたが、負の感情を負で返すことは良くありません。

私は正の感情で返しました。

「とても目が覚めた時に気持ち良かったから起きないともったいないと思ってね。」

妻はその言葉を聞き何も言わずに軽くため息をつき私から目を逸らし洗い物に目を向け作業を続けていました。

妻の負の感情は続いています、こういった時の対処方法はどうしたらいいのでしょうか?

私は台所に立っている重い身体の妻(妊娠しているわけではなく物理的な意味です。)を1分程見つめている間に思いつきました。

こういう時こそ詩を吟じるべきです、私は最近お気に入りの詩を詠いました。

「私には野望がある、それは夢や希望なんて生易しいものではない。夢だったら諦める事もできる、希望だったら捨てる事もできる。でも野望はこの身が朽ち果てるまで消える事はない。」

妻がその詩を聴き、洗い物をしながら私に聞いてきました。

「何の野望を持ってるの?」

私は高らかに宣言しました。

「彼女を作る!」

妻は洗い物の手を止めずに無言のままです。

洗剤の付いた食器を洗い落とす水の音しか聞こえてきません。

私は詩を詠いスッキリした後、少しのどが渇いたので台所に置いてあるタンブラーを手に取りコーラを注ぎました。

私の使っているタンブラーは長いためコーラを注ぐときにコポコポコポと音が響きました。

その瞬間、妻は叫びました。

「コポコポじゃねーんよ!」

妻は洗い物の手を止め私の首根っこをつかみました。

私は妻に寝室まで引きずられました。

「もう一回寝てこい!」

捨て台詞とともに私を布団に投げ捨て足蹴にした後、ドアを思いっきり閉めて妻は出ていきました。

どこで妻が怒りを覚えたか不明ですがコーラを注ぐ音にまて突っ込むようになった妻に少し感動を覚えた出来事でした。

笑いのレベル

妻は私の話を聞く事は苦手ですが自分が話をする事が大好きです。

仕事から帰ってきて妻の機嫌が良い日はよく話しかけてきます。

8割は妻の会社の人間の悪口です。

普段は妖精と話をしているのかと思うくらい声が小さく聞き取りにくい妻ですが人の悪口をいう時の声量と話の速度は3倍に跳ね上がります。

その日も妻が話しかけてきました。

「上司が朝礼でつまらん事を言うてくるんよ。コロナが流行している時期なのに『ゴールデンウイークは休みが多いからイタリア行こうかな。』とか『俺はイタリア旅行予約した。』とか。皆ぽかーんとした顔してたんよ。」

確かにオチもないつまらない話です。

「今行ったら日本にかえってこれなくなる、2週間隔離よ。本当につまらん話をして。」

妻は憤っています、妻の気持ちを和らげるために私は言いました。

「あなたは何もなくても隔離やけどな、イタリアに行ったら猛獣が来たって騒ぎになるから。」

「殺すぞ。」

私は軽快なトークを繰り出しましたが妻が更に憤ってきました。

少し話を変えないといけません。

「しかし一般人は笑いのレベルが低いな。まあ俺は笑いの天才やけど。レベルでいくと特Aかな。」

「いやいや、特Aはさんまさんとか笑いのプロの人よ。」

確かにプロを入れると当然順位は変わってきます。「まあ、それはそうやけど。じゃあイタリア野郎の笑いのレベルは?」

「うーんNくらいかな。」

当然ながら一般人の更につまらない話をする人ですからレベルはかなり下です。

それに照らし合わせると私のレベルはBかCあたりでしょうか。

「そんなもんやろうな。じゃあ俺のレベルは。」

「M」

即答です。

確かアルファベットの順番はNの前がMで覚えていましたがもしかして間違って覚えていたのでしょうか。

鎌倉幕府を開いたのが1192年と覚えていたのが1185年に変わったようにアルファベットの順番もA、B、M、C、D・・・と変わった?俺があいつであいつが俺?いやいや、そんなはずはありません。

「あれMってNのひとつ前よな。」

「うん。」

「絶対おかしい、俺がMなわけないやん。」

私の叫び声を聞いて妻は力強くいいました。

「いいや正確、あんたはMよ。」

Wの妻に評価されたショックな一日でした。

PS Wは笑いのレベルのWとWideのW、両方の意味を含みます。