霜降り明星の粗品

先日、普段いつもご機嫌な娘が学校から仏頂面で帰ってきました。

昨今いじめの問題なども多いため私は少し心配になり娘に聞いてみました。

「どうしたん、何かあったん?」

「私は怒っとるんよ。今日同級生がな授業中に『アジの味はいかが?』って冗談を言ったら皆が大笑いしたんよ。 先生も大笑いしてその子にお笑いの世界に行ったらとか言ったんよ。そんなんオーディション行ったらすぐ落とされるよ。」

「 アジの味はいかが?なんて子供の浅知恵よ!」

娘は同級生のお笑いのセンスに怒りを覚えたようです。さらに娘の怒りは止まりません。

「ひょっこりはんも全然面白くないし、何であんなのがテレビに出とるんよ。」

「 私の下腹の方がひょっこりはんよ!」

私の下腹ひょっこりはんには、さすがに私も笑っていました。

「そのセリフ面白いな、センスあるやん。」

私の その言葉を聞いて娘は言いました。

「でも私はお笑いにはいかんよ。私は声優になる、声優になって漁師と結婚するんよ。」

声優になる事も漁師もと結婚する事も私はその時に初めて聞きました。

どちらかと言えば漁師と結婚するに引っ掛かりを覚えました。

「まあいいんやけど、何で漁師と結婚するん?」

娘は知った風な口調で私にいいました。

「だって余った魚をいっぱいもらえるし。」

私が霜降り明星の粗品だったら大きな声でこう言ったと思います。

「子供の浅知恵!」

ゴールデンウイーク

私は365日稼働ののコールセンターで働いているため休みの日は土日があまりなく平日になる事が多いです。

今年はゴールデンウイークの期間が長かったため妻と休日が合い旅行に出かける事にしました。

岡山から車で子どもが行きたがっていた広島のポケモンセンターに向かう事にしました。

朝の9時ごろに出発しましたが当然ゴールデンウイークの為、高速道路を使いましたが道路がとても混みあっていました。

中々車が進まなかったためバックミラーで妻の顔を確認した所、いつも以上に不機嫌な顔をしています。

お腹が空いているのか、車の混雑のどちらかに苛立ちを感じていると考えられます。 ここは私のエンジェルトークで盛り上げないといけません。

「すごい渋滞やな、妖精の仕業かな?」

それを聞いて妻は間髪入れず答えました。

「人間の仕業よ!」

上手い返しに私は図らずも笑いそうになってしまいました。 妻はすっかりツッコミが板についてきました。ここはエンジェルトークを畳みかけていかないといけません。

「今日の空はブルースカイ、俺の気持ちもブルースカイ。コダマでしょうか、いいえ違いますけど何か?」

それを聞いて妻は少し間を置き少しトーンを落として言いました。

「あんた死ぬまでそうやって生きていくん?訳分からん事ばっかり言って。」

妻に呆れられたゴールデンウイーク中の一コマでした。

川柳

娘も今年の4月で小学3年生になりました。仕事が早く終わって帰ると娘と一緒にお風呂に入りながら娘と一緒に色々な話をします。

最近娘は体型を気にするようになりました。 お風呂に入りながら娘はよく自分の太めの足をさわります。

「足細くなりたいわー。」

それを見て魔女の宅急便で魔女のキキが魔法の使い方を聞かれた時に答えたセリフを思い出しました。

画家の少女ウルスラ:「魔法って呪文を唱えるんじゃないんだ」

キキ:「うん、血で飛ぶんだって」

娘も血で太ったに違いありません、ええ違いありません。 そんな娘は自分自身の見た目をどのように評価しているか気になり、何気に聞いてみました。

「クラスで何番目に自分の事可愛いと思ってる?」

娘はすっと人差し指を立て自信満々に言いました。

「一番美しい。」

今後の事を考えてこれはきちんと訂正しておかないといけません。

「うーん、クラスで10番位じゃないかな。」

娘は怒りましたがあまりひいき目の判断をしてしまうと今後の教育に差し障ります。

「じゃあパパは自分の事を会社の中で何番目にカッコいいと思ってるんよ。」

会社の男性陣は20人位です。どう考えても私が一番カッコいいです。

「パパが一番カッコいいかな。」

それを聞いて娘が言いました。

「パパの見た目は普通よ、普通より50センチ上かな。」

評価は全く高くありませんが身内の差し引きを計算に入れると妥当な所です。 ふと妻の評価も気になったため聞いてみました。

「お母さんはどう思う?」

「お母さんの若いころの写真を見た事あるんよ。お母さん若いころは今より痩せてるんやけど昔より今の方がいいな。」

娘は妻の感想を言い終わった後、最後に一言小さい声ですがはっきりとこういいました。

「あの顔に 細い身体は 似合わない」

お母さんの見た目川柳があったら是非とも投稿したいと思った娘のいい川柳が聞けた一日でした。

備前焼

私の住んでいる岡山では備前焼が盛んです。

備前焼祭りと言って年に一度、備前焼を安く購入できるお祭りがあったり備前焼の陶芸教室がたくさんあったり地域に備前焼が根付いています。私も備前焼が好きで備前焼祭りは毎年必ず行っています。

そんな岡山にいる私ですがまだ陶芸教室に行った事はありません。

もう38歳にもなったので、そろそろ内面も磨いていかないといけません。

どうしたら内面を磨けるでしょうか。そうです、陶芸教室に行って備前焼のコップを作る事です。

思い立ったが吉日、私は会社の友人2人(男性43歳、女性38歳)を誘い一緒に陶芸を体験する事にしました。

家から車で30分ほどの所に「備州窯」という窯元があり、友人の車でそこに向かいまいした。

値段も3000円程で粘土500gを使って手回しロクロで自分のオリジナル作品を作る事ができます。

その日の体験教室の講師は30代前半位の比較的若い女性に担当してもらいました。

初めて備前焼を体験する人が大体1つの作品を作る時間は30分~1時間かかります。私は才能があったのか10分程で作ってしまいました。

他の2人はとても時間をかけて作っており、1時間近くかかりました。

私はその間暇だったため、色々できた作品に手を加え特殊なコップができてしまいました。

他の2人にできた作品を見てもらい感想を聞くと「変わっているね。」との評価でしたが、私はとても気に入りました。

形は独特ですが見るものを引き付ける力があり、私は実は陶芸家になるために生まれてきたのではないかと感じられる程の作品になりました。

乾燥と焼き上がりに3ヶ月程かかるらしく、できあがったら家に郵送してもらう事にしました。それから3ヶ月後できあがったコップが家に届きました。

そのコップを・・いや力作を見て私は今からでも陶芸家を目指すべきではないのか真剣に悩みました。

私の作品が飛ぶように売れ、時代の寵児となりもてはやされる姿が目に浮かび口元が緩んでしまいました。

その作品を台所に置いていた所、運悪く妻に見つかってしまい妻が言いました。

「何これ気持ち悪い。」

美的センスのない妻の言う言葉ですから私は気にせずその日は眠りにつきました。

次の日私が起きた所いきなり妻に話しかけられました。朝から妻が話しかけてくるなんて嫌な予感しかしません。

妻は顔をしかめて言いました。

「あのコップ台所じゃなく、他の場所に置いてくれんかな。あのコップ見てたら気持ち悪くて胸のザワザワが止まらんのよ。」

陶芸家を目指すかどうかはもう少しじっくり検討してみようかと思います。