お気に入りのシャツ

私は岡山県に住んでいます。岡山はどちらかと言えば田舎ですが5年前にとても大きなイオンモールができ、そこにはたくさんの人が集まります。

その日私は仕事帰りに何気なくそのイオンに寄り、よく服を買うお店でクレリックの仕事用のワイシャツを購入しました。

服はじっくり選びかなり検討してから購入するタイプの私ですが、そのシャツは濃い青色をしており私のとても好きな色で一目惚れしてしまいすぐ購入しました。

あまりにも素敵だってので購入してすぐイオンのトイレでその服に着替えました。トイレの鏡で何度か確認しやはり買って良かったとしみじみ思いましと。

私は喜び勇んで家に帰り妻に自慢しました。

「この服今日買ったんだけどどう?」

「何か制服みたいであまりいけてないよ。ていうかガンダムのアムロみたい。」

まあ妻からの評価はこんなものでしょう。いちいち妻からの評価を気にしていたら生きていけません。 念のため娘にも評価を求めました。

「どうかな、この服。パパは気に入ってるんやけど。」

娘は私を見て言いました。

「パパ、帰る時に女の子からじろじろ見られんかった?」

「うん、あの人格好いいって見られたよ。服のおかげかな。」

その言葉を聞いて娘は言いました。

「違う違う、あの人ずっとじろじろ見とんやけどって」

娘の回答はもはやシャツは関係なくなっていました。 側で聞いていた妻はそっと呟きました。

「親子の会話じゃないな。」

何が原因か分かりませんが、購入して1ヶ月になりますが私は未だにそのシャツを着て会社に行く事ができないでいます。トラウマってこういう風にできていくんですね。

娘の成長

私は日勤と夜勤の2交代制で仕事をしており、日勤の仕事で早く帰ると娘と一緒にお風呂に入り寝かしつけます。

ある日、娘を寝かしつけていると子供がいきなり抱きついてきて叫びました。

「イエス、高須クリニック!」

意味が全くわかりませんが、さすが私の娘です。爆笑をしてしまいました。

しかし私の爆笑で娘は味をしめてしまい、その後も「イエス、高須クリニック!」を連呼してきました。

このままでは危険です、ほうっておくと娘の笑いのレベルが落ちてしまいます。私は娘に言いました。

「あのな、繰り返していいのは2回までよ。よっぽど狙いがあるんだったら何回も言ってもいいけど。」

「そうかなー。」

娘はピンときていないようです。今後の娘の笑いの成長のためにも、ここはしっかりと教えておかないといけません。

「いい、繰り返すんやったら少しずつ変化をつけて言わないと飽きられるから。変化させすぎてもダメやけど。」

その説明を聞いて娘は叫びました。

「イエス、古女房クリニック!」

その声を聞いて隣の部屋から妻が来て怒りながら言いました。

「誰がそんな病院行くんよ、そもそも看護士が面接こんよ。」

さすが私の妻と娘です、娘の今後の成長が楽しみに思えた一夜でした。

九九

私は現在コールセンターで仕事をしています。仕事の時間帯が日勤と夜勤にわかれており、日勤の時は早く帰る事ができます。

 ある日、早く帰ると妻が娘に九九の練習をさせていました。

「じゃあ6の段言ってみて、その次は8の段ね。」

お風呂に九九の表を貼り娘に練習させているので大体間違えずに言えるようになってきました。 せっかく私も早く帰ったので娘の九九の練習に付き合いました。

「5×5」

「うーん25」

「OK、じゃあ6×6」

「36」

娘も中々のものです。娘に九九の練習をさせている時に妻が食事の用意をしていたのでテーブルにおかずを持ってきました。

娘に九九の練習をさせていたので妻にも何気なく問題を出してみました。

「なあなあ、7×8」

「うーん、48」

その答えを聞いて娘は言いました。

「パパ、お母さんは7の段が弱いんよ。」

妻はもう娘に抜かれてしまったようです。 早く帰った日は妻に九九を教えてあげようと思います。

ローランド

私はローランドのファンです。

知っている人も多いと思いますが、ローランドはホストで最近よくテレビに出ています。

ローランドは大学を入学早々に自主退学。

18歳でホストを始め、2018年のバースデーイベントでは1日6000万円以上の売り上げを記録しました。

最近ではホスト業だけではなく、メンズ脱毛サロンの経営、ヘアオイルのプロデュースなど多彩な事業を展開しています。

そんなローランドの記事がヤフーニュースに載っていた為、何の気なしに見てみました。その記事にはローランドがホストになるきっかけの出来事が書かれていました。

教師と両親の勧めで大学には進学したものの気分は晴れないまま。入学式に出席したとき、その違和感は決定的なものになった。

「入学式で周りを見渡したら、なんかさえない奴ばっかりで、このまま大学に入って、4年間あんまり興味のない講義を受けて卒業して、一般企業に就職して、定年まで働いて、小太りの妻がいて、休みの日はテレビを見ながら缶ビールでもすする、っていう絵が浮かんだんです。自分の将来ってこんなもんなのかって思って、すごく恐怖を覚えたんです。」

そこでローランドは周囲の大反対を押し切って大学を辞めて、ホストの世界に入ることにした。と書いてありました。

小太りの妻がいて、休みの日はテレビを見ながら缶ビールでもすする・・・。私の事です。

こうなったら私も会社員を辞めてホストになるしかありません、いえ絶対そうです。

その夜、仕事から帰ってきてお疲れ気味の小太りの妻に言いました。

「俺はホストになる。この思いは真剣なんよ、わかってくれ。」

それを聞いて妻は巻き舌で言いました。

「コラ、38歳。どこの女が38歳のおっさんに見向きするんよ。そんな事より早くご飯を炊いてくれんかな。」

その日私はお米をとぎながら思いました、大学中退してホストになっておけばよかったなと。

大学行ってないけど。