80歳発想法

ある休日に私は考えていました。

私は今38歳です、38にもなると出来る事が限られてきます。

転職できる場所も限られてきますし、子供の関係もあるため自由に引っ越しもできません。

出来る事が20歳の頃と比べて少なくなった、制限されてきたなと思って少し落ち込んでいました。

その瞬間私の頭の中に閃きがおきました。

「そうだ今この瞬間私が80歳になったと思ってみよう。」

80歳になった私は体が思うように動きません。

膝も痛いし、あっちもこっちも痛いです。

体が痛いので出かけるのもおっくうになって友達もほとんどいなくなり、子供も忙しくあまり帰ってきません。

毎週病院に通いたくさんの薬をのんでいます。

考える事はお墓の事や健康の事、年金の事ばかりです。

頭の中には暗い事ばかり浮かんできます。

そんな私がいきなり38歳になりました。

何て自由が広がっているのでしょう!

いつでも友達と飲みに行けるし、ありったけの酒を飲む事ができます。

タバコも吸えますし、バリバリ仕事もできます。

歯もしっかりしているので好きなものも食べられます。

更に恋愛だってできます、そうです恋愛だってできるんです。

私はとても幸せな気分になってきました、38歳最高です。

生きていて良かった、人生って素晴らしい。

素晴らしい発見をした私はその日一日幸せな気分で過ごしました。

私はこれを簡単に幸せになれる発想法「80歳発想法」と名付けようと思います。

その日も妻が18時30分ごろにいつものように不機嫌そうな顔で帰ってきました。

妻にも幸せな気分を味わってほしいと思い本日発見した「80歳発想法」の説明をしました。

「今自分が80歳になったと思ってみて。次の瞬間自分の年齢に戻るんよ。凄くない?何でもできるんよ、素晴らしいやろ。」

妻はいいました。

「のんきやな、おかしい人と思われるから会社の人には言わんほうがいいよ。」

いつも通りの反応です、ここで引いていては妻を幸せな気分にする事ができません。

「ちょっと待て、まずはちょっと80歳発想法を実践してみたら。こっちはあなたの心の花壇に水を与えたいだけなんよ。」

妻は舌打ちをして叫びました。

「こっちはいらん肥料と水を与えられて根腐れしとんよ!」

妻は打たれ強い雑草だとはわかっていましたが、どうやら水も土もいらない植物、エアプランツだったようです。

娘の将来

最近娘の今後の将来が心配になってきました。

毎週土曜日は娘が学校が休みの為、8時過ぎ頃まで寝ています。 私は土曜日も仕事の日が多いため娘が起きる前に出勤します。

その日は前日に娘から7時には起こしてと言われていたため、スーツに着替えて出勤前に起こしました。

「起きて、7時に起こしてって言ってたやろ。」

「眼鏡どこ?」

娘は眼鏡をかけているため眼鏡を探し出しました。

娘の枕元に読みかけの漫画があったため私は何の気なしに漫画を手に取り娘に渡しました。

娘は目をこすりながらその本を目に当てました。

「あーよく見えるな、見える、見えるぞ。」

誰もがテンションが低い朝一からラピュタのムスカ大佐のボケをかましてきたため不覚にも笑ってしまいました。

それから娘は眼鏡をかけ顔を洗いに洗面台に向かいました。

洗面台の前で娘は鏡をしばらく見つめていました。

私は娘の様子が気になり声をかけました。

「どうしたん?」

娘は鏡で自分を見つめたまま私に言いました。

「私かわいい、まだ捨てた顔じゃないわ。」

娘は多分男にモテる人生は送れない事に太鼓判を押した一日でした。

残念ながら私の血を色濃く受け継いでいる模様です。

バレンタインデー

今年のバレンタインデーでの出来事です。

私は毎年会社の女の子から2~3個チョコをもらいます。もちろん義理チョコです。

今年は何と6個もらう事ができました。

38歳の人生の中で新記録です。

私の人間性が磨かれてきたからでしょうか、兎にも角にも嬉しい事限りなしです。

誰かに自慢したいのですが、最近本を見て覚えたのですが自慢すると人から嫌われようです。

会社では必死で自慢する事を我慢しました。

家に帰ると妻からもチョコをもらいました。アルフォート3つ、Crunky3つの市販のチョコ詰め合わせです。

「しけてやがる。」と思いましたが私も大人になった為、さすがに言葉には出しませんでした。

奪い取るようにチョコを受け取って態度には出してやりました。

バレンタインチョコの新記録を妻に自慢しても多分小馬鹿にされます。最後の命綱である娘に自慢する事にしました。

「バレンタインチョコ新記録作ったんよ、6個ももらった!」

私は喜び勇んで娘に伝えました。

娘は私のもらったチョコをじっくり見て言いました。

「これ全部義理チョコやろ。」

まあ義理チョコですけど、何か?腹が立ったので言い返しました。

「全部本命よ。」

「でも全部ちっちゃいよ、500円位じゃない。」

娘の鋭いツッコミが続きます。 ツッコミに全力で言い返しました。

「でも皆チョコ渡すときに恥ずかしそうにしてたから絶対本命よ。」

「でもパパはイケメンじゃないし。」

「イケメンよ、週2回はかっこいいって言われるわ。」

そのやり取りを隣で聞いていた妻が言いました。

「信用せんほうがいいよ、パパは息を吐くように嘘をつく。」

もしかしたら私は薄っぺらい人生を送ってきたのかなと思わされた一言でした。

毎日座禅を組んで自分を見つめなおしてみようと思います。