普段私は妻と娘と同じ部屋で寝ています。
座敷の部屋に布団を3つ敷き、扉近くが私の布団、真ん中が娘、窓際が妻です。
その日は私の仕事が夜勤だった為、帰って夕食を食べ、お風呂に入った後寝室に入りました。
娘は布団に潜り込み漫画を見ており妻は布団に入り窓側を向き携帯を触っていました。
ふと妻の背中を見てみると服がめくれ上がって背中が半分見えていました。
とても大きく質量があるこの背中は何かに似ています。

「アザラシかな?」
私がたまらず呟いた所、妻の背中がピクッと反応しましたが何も言わず携帯を触っています。
私は安心し扉側を向いて携帯を触っていました。
2分程携帯を触っていると娘の悲痛な叫び声が聞こえました。
「わー、助けてー。」
後ろを振り向くとアザラシが・・いいえ妻が横になったまま両手両足をピンと伸ばし真ん中にいる娘を押しつぶしながら私の方に向かって転がってきました。
このままですと私は車に轢かれたカエルのように押しつぶされて平たくなってしまいます。
私は必死に両手を伸ばし妻を押さえました。
私の手は妻の二の腕をつかみました、成人女性の二回り程の太さがありとても質量がありました。
妻を片手で押さえたまま私は自分の二の腕を触り妻との差を確認しました。
「いらん事言うな、いらん事すな!」
妻が叫びましたが私は自分の二の腕を触っただけです。
「いや、何も言うてないけど。」
「行動が物語っとんよ!」
我が家のアザラシは心理学にも長けているようです。
結局その日は妻を自分の布団に戻すのに30分かかりました。
(説得の時間含む)