帰りの車内

ある休みの日に車で出かける用事があり妻から車を借りました。夕方になり妻を迎えに行き、その後で娘を学童保育に迎えに行きました。いつも通り妻は私の後ろに座り娘は私の横に座ります。

最近車の中では流している音楽に飽きてきたため今ではラジオを流しています。

妻と娘をのせた帰りの車の中で特に会話もなかったためラジオを聴いていると、ラジオパーソナリティの女性がゲストの俳優と対談をしているようです。

ラジオパーソナリティの女性の声は若干高く優し気でとても私のタイプでした。

「この女性と付き合いたいな。」

心の声が自然と漏れてしまいました。

「なれるわけないやん、ラジオよ。」

娘のツッコミは正しいですが、心ではそれを受け入れたくありません。

「そうかもしれん、でももし何かの拍子で出会う事があったら恋が芽生えるかもしれんよ。」

「でも結婚して子供もいる40近い男には女は寄り付かんのよ。若い男しか見てないんよ。」

小学4年生はやはりまだまだ子供のようです。

「それは違う、そういう男がいいって言う女もおるんよ。」

「頭がこんがらがってきた。」

娘は混乱しています、もう一押ししておきたい所です。

「結婚しているからとか年齢が何歳だからとかじゃないんよ。優しくて、明るくて、上品だったらモテるんよ。あんたも小4やけど彼氏おらんやろ、年齢じゃないんよ。あんたの机も汚いやん、綺麗にしたらモテるよ。」

せっかくいい機会なので娘の机が汚い事を注意した所、娘は私を見つめ力強く言いました。

「私は彼氏がいないんじゃないんよ、男達に私がいないんよ。机が汚いんじゃない、私が美しすぎるんよ。」

それを最初から後ろで黙って聞いていた妻はそこで初めて言葉を発しました。

「一言一言がアホやな。」

妻のツッコミのレベルは上がってきたようです。

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