私は外出するとまず初めに空を眺めます。今日の空の色、雲の形を確認します。
この癖がついたのは5年ほど前に娘と散歩した時に言われた一言に端を発しています。
当時の娘は5歳です、娘は歩きながら空を見て言いました。
「今日の空はいつもより青いね、雲の形は綿あめみたい。」
何気ない言葉ですが私の胸に響きました、響いた点は2点ありました。
1点目はいつからそうなったかわかりませんが、歩くときに空を見なくなっていた事です。
出勤する時や休みの日に外出する際も私は空を見ていませんでした、目には入っているのですが見ていませんでした。子供の時はたくさん空を見て思いを馳せていたはずです、これからはもっと空を見て自分の心を綺麗にしていこうと心に誓いました。
2点目は雲を見て他の物を想像しなくなっていた事です。
今は雲を見ると雲だとしか思いません、子供の頃は雲を見てたくさん色々な物を想像していたはずです。
大人になるにつれ柔軟な発想や物の見方ができなくなります、今の自分は家族や会社の仲間に対して画一的な見方になっていないだろうか?そうなっていたら人に対して失礼ではないだろうか?
私は散歩中に自問自答し続け、帰ってから妻に報告しました。
「娘がさっき雲の形は綿あめみたいって言ったんよ。その時俺は反省した。会社の仲間や部下をこういう人間だって決めつけて見ていた。これからは皆をもっと大きく受け止めていきたい。」
私が必死で悩んだ出した結論を聞いて妻が言いました。
「ちょっと何言ってるかわからんし、気持ち悪い。」
まあ妻の返事はこんなもんでしょう、こういった出来事があり5年前から空をよく見るようになりました。
最近も娘と散歩中に空を見上げると雲が一つもなく青く青く澄み渡っていました。
「今日の空はとても綺麗だね。」
娘はその言葉を聞き眉をひそめて言いました。
「引くわー、今カッコつけたやろ。」
これからはお金が落ちていないか地面を見ながら歩いていこうと思います。